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相続手続きと銀行実務 その②

公開日:2020-07-28 19:18

目次

相続手続きと銀行実務 その②



前回は、相続手続きと銀行実務その①を取り上げました。


今回は、その②として、遺言書、特に自筆証書遺言がある場合の銀行実務を取り上げます。


自筆証書遺言とは手書きの遺言書のことです。


自筆証書遺言には、下記のような厳格な要件があり、


□全文自書

□日付の記載

□氏名の記載

□押印


一個でも要件を欠いていると即無効となります。

(民法改正により、一部緩和はされておりますが……)


また、預金債権の特定を誤ったり、文言を間違えてしまい、折角書いた遺言を使っての手続きが出来なくなってしまうケースがよくあります。

下記に、過去手続きに使えなかった記載例を掲げます。


・「○〇銀行は妻○〇に任せる」と記載されている。(管理させることなのか、相続で取得させるのかが不明瞭)


・遺言内容をスマホに録音している。(電子機器は、容易に改ざんされる可能性がある為、遺言として認められません。)


・押印がない。


・ワードで本文を記載し、氏名と押印のみがある。


上記の様な事例では、遺言を利用しての手続きが一切出来なくなる可能性があります。一度まずは、作成前に司法書士等の専門家に見てもらったほうがよいでしょう。



上記の要件をクリアして、晴れて遺言を利用しての手続きに進んだ場合、

多くの銀行さんにいわれるのが、下記の事項です。


  1. 「当行では、公正証書による遺言しか受け付けしません」

②「遺言に加え、相続人様相続人全員の実印と印鑑証明書を取り付けてください」

③「遺言執行者を立ててもらえないと受付できません」


①と②の事項をよく言われるのですが、自筆証書遺言も有効要件を満たしたうえでており、かつ、家庭裁判所で検認手続きをしさえすれば、法律上公正証書に匹敵する効力を有します遺言と同じ効力を有するのですが、実務では、①と②の事項をよく言われます。

また、遺言を書く方は、


  ・判を貰えそうにない相続人がいる子供たちの仲が良くない。

  ・前妻との間にお子さんがいる。

  ・行方不明の子がいる。


などの事情を踏まえて書いているケースが多くありますいです。

そのため、上記②のように、相続人全員の実印・印鑑証明書を取り付けるとなると、そもそも遺言を書いた意味がなくなってしまいます。


このような場合、ご自身で銀行と交渉するよりも、司法書士等の専門家にを遺産整理業務を委任し、専門家に銀行に交渉してもらったほうがよいでしょう。


また、③のようなご指摘を受けた場合も、家庭裁判所に対して専門家を遺言執行者とする申立を行うことで、迅速に手続きを進めることができます。


遺言がある場合のは、銀行の対応もそれぞれですからかなり変わって来ますので、お早目に専門家にご相談下さい。