相続税コラムテスト記事
公開日:2022-01-07 16:09
目次
相続税における「相続対策」と「節税対策」の基本的な考え方
納税は国民の義務ですから、相続税は払うのが当然なのですが、当事者にとっては「できるだけ税金は少なくしたい」というのが本音ではないでしょうか。そのために行うのが「節税対策」であり、節税も含めた円滑な相続を進めていくために必要なものが「相続対策」です。
この記事では遺産相続における相続対策の基本的な考え方について解説いたします。
相続対策の基本の考え方
①節税対策 相続税の金額を下げるための対策です。
②もめごと対策 相続争いなど相続人同士での感情的なもつれを引き起こさないための対策です。
③財源対策
https://legacy.ne.jp/knowledge/now/souzoku-zei/154-souzokutaisaku-setsuzeitaisaku/
相続税の納付に用いる資金確保のための対策です。
節税対策
相続税における節税対策としては大きく二つに分けることができます。一つは「生前贈与」で、もう一つが「財産評価を下げること」です。
生前贈与での節税対策
「生前贈与」とは、相続が発生する前に個人の財産を子や孫など他の方に贈与することで相続税の課税対象額を減らしていくというものです。相続税は遺された財産の評価額を元に計算しますから、そのもともとの財産が減れば相続税も少なくなるというわけです。
贈与にも贈与税が課せられますが、原則として1年間(1月1日から12月31日まで)に110万円までの贈与であれば非課税というルールがあります。この課税方式を「暦年課税」といいますが、このルールを利用して毎年コツコツと生前贈与を続けていけば、将来的な相続税の負担を極力抑えつつ、財産をゆずっていくことができるのです。
財産評価を下げることでの節税対策
相続対策における節税対策としてのもう一つの「財産評価を下げる」とは、相続税の制度に設けられている特例などを利用する方法です。特例などを上手く活用すると、財産の評価額を下げて課税対象額を減らすことができます。
たとえば「小規模宅地等の特例」というルールを上手に使えば土地の評価額を最大80%(貸付けの場合には50%)減らすことができます。4,000万円の土地であれば800万円まで下げることができるので、大きな節税効果があります。
また、不動産の場合は現金よりも7〜8割程度低く評価されるため、現金を遺すよりも土地や建物にしておくという方法もあります。1億円の現金なら評価額は1億円ですが、不動産なら7,000万円〜8,000万円前後で評価されるので、ここでも節税効果が生まれるというわけです。
特例などの制度における対策方法
相続に関しては、被相続人が亡くなった後の相続人の暮らしを守るための制度がさまざまに用意されています。すべての制度が使えるというわけではなく、個々の状況に応じて活用していくことになりますが、知識があるとないとでは大きな違いが出てくるため、ぜひ押さえておきたいポイントといえます。ここでは主だったものを紹介します。
生前贈与に関する制度
生前贈与には、以下のように暦年課税方式以外の課税方式や非課税制度などがあります。これらを利用すれば贈与税の節税となります(相続財産を減らすことができます)。
相続時精算課税方式
60歳以上の贈与者が20歳以上の子や孫に贈与をした場合、2,500万円までが非課税になるというものです。ただし、相続時には贈与分を相続財産に加算することになるので大きな節税効果は期待できません。
贈与税の配偶者控除の特例
20年以上連れ添った夫婦であれば居住用の不動産あるいは購入資金の贈与が2,000万円まで非課税となる制度です。
住宅取得等資金の特例
父母や祖父母から住宅取得等のための資金の贈与を受けた場合、一定額が非課税となります(住宅のタイプや贈与時期によって非課税枠が異なります)。
教育資金の一括贈与に係る非課税制度
父母や祖父母から教育資金を一括贈与された時に1,500万円までが非課税となる制度です。
結婚・子育て資金の一括贈与に係る非課税制度
父母や祖父母から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた時に1,000万円までが非課税となる制度です。
財産評価を下げることに関する制度
ここでは各種控除を紹介します。
相続税の配偶者の税額軽減
相続人が配偶者である場合、相続財産が1億6,000万円または法定相続分以下なら相続税がゼロになるという制度です。
未成年者控除
相続人が未成年である場合に使える控除です。原則として、相続時に20歳未満で住所や国籍など一定の要件を満たす法定相続人が対象となります。控除額は【20歳に達するまでの年数×10万円】です。
障害者控除
障害者控除とは、「85歳未満の障害者が財産を相続した場合」に適用されます。一般障害者の場合は【85歳に達するまでの年数×10万円】が控除額となります。
特別障害者の場合は【85歳に達するまでの年数×20万円】が控除額です。
相次相続控除
相続開始前10年以内に相次いで相続が起きた時に一定の額を控除していくというものです。この場合、最初の相続(一次相続)で相続人となっていた人が亡くなり、次の相続(二次相続)が起きたというケースで適用されます。
上記の制度にはそれぞれ細かい要件が設定されています。より詳しくは税理士などの専門家に相談してみてください。
相続税の計算方法
基本的な知識として相続税の計算方法を理解しておくことにしましょう。相続税を算出するには、まず被相続人が遺した財産の評価額から基礎控除額を差し引いて課税対象額を出します。その課税対象額を法定相続分の割合に応じて配分していきます。そしてその分した金額にそれぞれ一定の税率を乗じて計算した金額を合計して、相続税額を算出するという流れです。
財産の評価額から基礎控除額【3,000万円+(600万円×法定相続人の数)】を差し引く
上記の金額を法定相続分の割合で配分する
相続人ごとの相続税を計算する
相続人全員分の相続税額を合計する
実際に取得した財産の割合に応じて相続税額を配分する
亡くなった方(被相続人という)が生前に築いた財産や債務を、その方の配偶者や子どもなどの親族が受け継ぐことを「相続」といいます。遺された財産の評価額によっては「相続税」の納税義務が生じることもあります。
相続対策も節税対策も個々のケースによって方法が異なってきます。しかし基本的な考え方は同じなので、まずはその部分を押さえておくようにしましょう。相続対策の基本は「節税対策・もめごと対策・財源対策」の3つです。
相続税における相続対策としては次の3つが挙げられます。